流転する星空の海

キラキラ お星さま

魂は星になって宇宙を彷徨うの
そうして またあなたのところへ

街は星空に沈み、死者は蘇る――――

マギカロギア「流転する星空の海」

レギュレーション:
・推奨人数:1人
・リミット:なし(ただし6サイクルで一区切りあり)
・1巻のみでも可
・4〜5時間(テキセ)









----------以下GM用情報(これより先を見てしまうとPLとして遊べない可能性があります)----------

()内はGM用補足情報









<背景>

書警の焔木ハルトは10年以上の付き合いのあるアンカー土居菜々子を自らのミスによる運命変転で失ってしまった。
彼女が最期に言った、「私の魂は、またあなたのところに戻ってくる」という言葉がキーとなり、ショックを受けて弱った心が禁書「流転する星空の海」と共鳴し、焔木はこの禁書を大法典から持ち去ってしまう。
こうして街には魔法災厄がもたらされた。街には朝が訪れず、地面には星の海が広がる。朝が訪れなくなって7日目、死んだはずの死者が生者として街に現れた。もちろん土居も。
これを調査するようにと、PCは書警の焔木から言い渡される。
焔木は自分と土居が疑われないように、スケープゴートを用意し、PCに重要人物として提示する。スケープゴートにされたのが、霧雨宙だった。


<NPC>

HO:焔木ハルト
魔法使い:書警
攻3/防3/根4
PCとは同僚にあたる。そこそこ仲がよかった。
10年以上の付き合いのアンカー、土居菜々子を自分のミスにより運命変転で亡くす。
難しい事件に挑んでいた最中の出来事だった。
大事な人を失ったことで、禁書「流転する星空の海」につけこまれ、半ば操られるように禁書の封印を解いてしまう。
(上からこれにより起こった魔法災厄の解決を指示され、本来なら自分も関わらなければいけないこの一件をPC一人に任せ、さらには重要人物を偽装した。)
キャラシ


HO:土居菜々子
愚者
記憶障害と診断されて、現在は通院している。
土居菜々子は死者である。本当は自分が死んでいることには気づいている。
けれど、なぜ自分がまだ生きているのかを知り、今は思い出せない大切な人を思い出すまでは再び死にたくないと思い、この事実を秘密にしている。
(焔木のアンカー。運命変転により死んだ。その際に、焔木に、自分が死んだ後、焔木が悲しまないようにと「私の魂は、またあなたのところに戻ってくる」という言葉を遺す。)
(しかし、これが今回の事件を引き起こすきっかけとなってしまった。)
(魔法災厄により生き返ったが、焔木のことは覚えていない。)


HO:霧雨宙
愚者
天文学を学んでいる大学生。
星に興味を持ちすぎて、一度天体望遠鏡を研究室から盗み出そうとして、厳重注意を受けている。
(焔木にスケープゴートにされた。)


禁書「流転する星空の海」
攻3/防4/魔9
特技:《流れ》《海》《天空》
魔法:
焔木の想いに反応して自らを解きはなたせた。憑依する前なのでまだ本調子ではない。
この禁書が巻き起こす魔法災厄は、街を永遠の夜に導き、星の海に漂わせたのち、7日目に死者を復活させるというものである。
(6サイクルでクライマックスに入れたら魔力9。それ以降は魔力18まで1サイクルかかるごとに魔力が1上がる。)



<導入>

焔木から魔法災厄の解決を指示される。

魔法災厄の内容
A市では地面が星空を映した浅い海のようになっており、夜が明けない
7日が経過した今、死者の蘇りが見られるようになった。
渡された資料には霧雨が怪しいとされる。
(この時点で霧雨のHO公開)

焔木は野暮用があると立ち去る。
シナリオアンカーは焔木。属性は興味で固定。
資料を受け取った後、PCは大法典の図書館を出ようとする。
ここで《偶然》で判定してもらう。
成功した場合、焔木の噂のHOを公開。
(未公開HOが3つあることも言う)
(失敗した場合、未公開4つ。調査で未公開HOを選んだ際に焔木の噂を引いたら同じようにモブ魔法使いを登場させる。)
魔力を決めて導入終了

HO:焔木の噂
「焔木、こないだの事件で珍しく大きな失敗したらしいよ」
「ああ。あれ以降、あいつ何か様子がおかしいもんな」
何があったのだろうか……
これは焔木が担当した例の事件の資料だ。
無事に禁書は封印できたものの、魔法災厄が広がり、分科会のメンバー全員少なからず苦戦を強いられたようだ。
その中で、一件死亡者のファイルがあった。焔木のアンカーだったようだ。
(土居、焔木のHO公開)



<マスターシーン>

・霧雨の秘密公開後
手がかりがなくなり、街をぼんやり歩いていると女性とぶつかる。
その女性が手帳を落とす。それによりPCは土居の情報を得る。(女性は土居。)
(土居、手帳のHO公開)
(すでに土居のHOが公開されている場合、手帳のみ公開)

HO:手帳
病院に行く日付、メモ程度に最近起こったことが書かれている。
持ち主の名前も書かれている。
名前は、土居菜々子というらしい。
(このHOが公開された後、《追憶》で判定。成功したら次のことを公開する)
メモの中に、「私は死んだはず」「どうして死んだ?思い出せない」「大切な人がいたはず。誰だろう」「あの空間は宇宙?今の街の様子と似ている」というものを見つける。
手帳のカバー裏に何かが入っている。これは写真?そこに写っていたのは、仲睦まじく寄り添い、笑っている焔木と土居の姿だった。
(焔木のHO公開。すでに公開されてあれば何もなし)

・焔木の秘密公開後
必要であれば、回想シーンを入れる。(シナリオ最後に参考を載せています)
6サイクルまで行ってない場合、PCが望むなら焔木に戦闘を仕掛けてもよい。
この戦闘は焔木だけとの1対1の戦闘であり、この戦闘で焔木が負ければクライマックスフェイズに焔木は参戦しない。
また、残りサイクル数に関わらず、クライマックスフェイズ2に突入する。(ただし、PCが望み、サイクル数の残りがあれば調律だけは行って良い。)
6サイクルまで行っていた場合、何もわかっていない土居を連れた焔木がPCのもとに現れる。
または6サイクル中に戦闘を仕掛けなかった場合、6サイクル終了後の電話の時に、背後に土居を連れて現れる。
そのまま焔木は名乗りを上げ、クライマックスフェイズ1へ

サイクル中の焔木との戦闘に勝利をすると、焔木は大法典に捉えられる。
そして、焔木が持っていた禁書が姿を現し、封印となる。
(クライマックスフェイズ2へ)


・6サイクル終了後
焔木から電話で進歩を聞かれる。
PCは焔木に調査結果を報告する。




<クライマックス>

PCの火力が低かったり、魔力が心もとなければ以下の特殊ハウスルールを入れても良い。
特殊ルール:各ラウンド1回のみ、自分の召喚ステップか攻撃ステップと魔素を1個消費することで魔力を1回復することができる。


・クライマックスフェイズ1

PCは焔木と禁書を相手に戦うことになる。
ただし、勝利条件は禁書の封印で焔木を倒しきる必要はない。

勝利
焔木は捉えられ、禁書は封印される。同時に魔法災厄は収まり、土居もこの世から再びいなくなる。
(トゥルーエンド「あるべき形」)

敗北
魔法災厄は隣街にまで広がる。自分のやったことがバレた焔木は大法典を抜け、書籍卿となった。大法典に追われながら、少しでもその日が来るのを遅らせるために焔木は行方をくらませた。記憶がない土居を連れて。
(メリーバッドエンド「どうかその日までの幸せを」)


・クライマックスフェイズ2

禁書の封印のみ行う。

勝利
封印するまさにその時、その場に土居が現れる。(迷い込んだ)
禁書の強い思念により、土居は封印に巻き込まれる。
しかし、それにより土居は禁書と同一化し、外典となった。
魔法使いとなったことで土居は焔木のことも思い出す。
禁書を持ち出し、魔法災厄を振りまいたことで焔木は処罰を受けるだろう。だが、その隣には外典となった土居もいる。
(ハッピーエンド「ずっと傍に」)

敗北
魔法災厄は隣街にまで広がる。死者が、現世に蘇る。また誰かが分科会を組み、この禁書に立ち向かうのだろう。
(バッドエンド「広がる災厄」)



※未公開HOの調査もできると言っておくこと。
※その際に、シナリオ通りに進められそうになかった場合、アドリブで乗り切ること。
必要であれば改変もOK


余談
焔木の野暮用は生き返った土居を探すこと。
そのため、土居がいた場所に現れる描写をしてもよい。


焔木が魔法災厄に立ち向かっている。
共に戦う分科会のメンバーも、既にボロボロだ。
分科会のリーダーであり、攻撃の要でもある焔木は果敢に攻撃を繰り出す。
焔木自身、既に倒れそうなほどの傷を負っている。
そんな時、焔木は魔法の発動を失敗してしまった。
決して責められるような状況ではない。
もはや、限界寸前だったのだから。
だが、現実はそんな理由で温情をかけてくれはしない。
攻撃の隙をつき、禁書が魔法災厄を放つ。
その先には不運にも、女性がいた。
焔木ハルト:「!!」
焔木は必死に女性のもとへ走ろうとする。
だが、彼がたどり着くよりも速く、魔法災厄は彼女に降り掛かった。
焔木ハルト:「菜々子!菜々子ーーー!!」
吹き飛ばされる女性。
手を伸ばす焔木。
非情にも、その手が届くことなく、女性は地面に叩きつけられる。
焔木は駆け寄り、倒れた女性を抱き上げた。
その間に、分科会の仲間の手により、禁書は封印される。
焔木に抱えられた女性は、既に虫の息だ。
震えた、かすかな声で彼女は言う。
土居菜々子:「ハルト……そんな、顔、しないで……」
焔木ハルト:「だが!俺が、あそこで失敗しなければ!」
土居菜々子:「心配しなくて、いい……私の魂は…………」
土居菜々子:「また、あなたのところに……戻ってくる」
そう言って、女性は目を閉じ、その身体からは力が抜ける。
全てが終わったその場に、焔木の慟哭が響いていた。





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